神社の手水舎ってどうやって出来上がるの?
こんにちは、プレインホーム代表の平原昭祥です。
今日は、東大阪の若江岩田駅に程近い若江鏡神社の手水舎を建替え工事させていただいたときのことをお話ししたいと思います。
打合せ当初より、宮司様も積極的に意見を頂けたこともありシンプルでありながら厳かな雰囲気のある手水舎を建てることができました。
手水舎の水盤は3tを超える一枚岩を刳り貫いて制作しているため、見るからに迫力がありその水盤の周りを玉石と縁石で囲むことでより一層壮麗なイメージを与えます。柱を支える束石も一枚岩で30㎝角の御影石を使用しています。この束石一つで50㎏以上の重さがあります。
木材の軸組材は、柱が5寸角、桁と梁が3寸角と4寸角を組み合わせた総桧の仕様になっております。桧は多くの油分が含まれ耐水性に優れていて、その油分には殺菌やリラックス効果があるといわれています。
また、構造材としての高い強度を持っているため、木造建築に用いる構造材では最高級の樹種として知られています。その桧材を高知の木材組合より無節と上小節のきれいな部材だけを取り寄せることができました。野地板や垂木も小さな小節があるものの木目を生かした和の風合いがすごくいい感じになじんでいます。
屋根は、ガルバニウム鋼板の一文字葺きを採用しています。昨今の酸性雨の関係で銅板葺きが敬遠されるようになりアルミニウムと亜鉛を混合して制作するガルバニウム鋼板は、薄くて軽量で建物への負担が少なく、錆びにくい性質を持っているため建物に採用するにはこの上ない製品です。
最近ではデザイン性にも注目されるようになり、多くのカラーをそろえるようになりました。今回は濃灰紺のカラーを選び建物との調和を図っています。
また、構造的にも細工をしています。以前の建物は束石の上に柱を載せているだけの建て方を行っていましたが、台風や地震などの天災にも耐えうるよう束石と柱の足元をアンカーボルトで貫通し基礎と繋ぎこむことで耐震、耐荷重、構造的にも強度にすることができました。
古来からの在来工法の技術と近代の部材の融合でまだまだ建築技術は進化していくでしょうね。
夜の手水舎も見てもらいたいものです。
梁上に隠した電球色のLEDライトが手水舎の夜の美しさを輝かせています。
日中に見る手水舎とは全然違うロマンチックな佇まいが新しい神社の見方を経験できると思います。
お参りされる際は、一日数度しかない水盤の注水の湧きだし時間に行かれることをお勧めします。水の溢れる音色をぜひお楽しみください。